恐怖 脳 萎縮

「人はなぜ恐怖を感じるのか?」――これはわかりやすい。 作り物だから? いやいや、楽しめる理由はそれである程度説明できても、あえて怖がりにいく理由がわからない。さらに、大いに楽しむ人もいれば、まったく受け付けない人もいる。 見回してみれば、小説に、映画に、遊戯施設に、そしてビデオゲームなど至るところにホラーコンテンツは満ち溢れている。心理学的な見地からは語られることも多いホラーだが、これを楽しんでいるときに自分には何が起きているのか、なぜ積極的に楽しもうとするのか。 池谷さんは『進化しすぎた脳』、『単純な脳、複雑な「私」』(ともに講談社)を始め、『脳には妙なクセがある』(扶桑社)、『脳はなにかと言い訳する』(新潮社)、糸井重里氏との共著『海馬 -脳は疲れない』(新潮社)など、脳に関する研究の最前線をわかりやすい形で読み手に伝えてくれる研究者だ。自分の脳をホラーのように切り開いて見られない僕らの代わりに、氏に仕組みを語っていただこう。 まずひとつ目は、「終わった後が気持ちいいから、見終わった後にスッキリするから」という、アフターマスモデル「Aftermath based models(事後モデル)」という分類です。 そして最後のモデルは、皆さんが想像しているものと、きっと異なるメカニズムだと思います。「co-activation model(同時活性化モデル)」と言って、人間は不快感と同時に快感を覚えるのだというモデルです。 こうなった理由は、人間が痛みを感じるだけだと非常にマズいからだと考えられます。痛くないと思う神経も同時にないと生存に不利なんです。 じつは、そのとき脳内では、モルヒネなどの麻薬が作用する部分が恍惚を導いています。だから麻薬をやっている人はあまり痛みを感じませんし、手術のときや病気が末期に至った人にもモルヒネが処方されたりします。 たとえばおしっこをする行為。あれはとても痛いはずなんですよ。 ですが痛みを消す作用のある神経が勝ることによって、おしっこを快感にしているんですね。用を足すとスッキリしますよね。じつは赤ん坊を見ているとわかるんですが、赤ん坊はおしっこが厭なんです。皆さん、赤ん坊はオムツが濡れて気持ち悪いから泣いていると思っていますが、調べてみると、おしっこしている最中、あるいはする前から泣いているんですよ。尿意や放尿感が不快なんですね。実際、いまのオムツは性能もよく吸うので、出た後はあまり泣きません。 僕らは「用を足したらスッキリする」こと自体を学習しているので、用を足すこと自体がいつの間にか快感になっているし、それが苦痛だということにもはや気づいていないんですね。 そうそう、ビールやコーヒーが好きというのも、生物学的にはまったく意味がわかりませんからね。最初にビールやコーヒーを飲んだときを思い出してください。たいてい不快な感じのはずですよね。子どもはたぶんみんなビールやコーヒーが嫌いです。苦いものは苦痛以外の何者でもないんです。 でもくり返すと、「毎日晩酌しないとやってられないよね」だとか、「やっぱり午後にはコーヒーを飲みたいよね」などとなって、不快が快に移ろいます。これらもすべてマゾの一形態なんですよね。 たとえば、ビールの苦味には本来は快感はありませんが、アルコールによる快感を得られるので、「飲んだ後は快感になる」ということを学習して、味自体を快感に感じるようになります。本当はお酒を飲んで気持ちよくなっているのが快感なんだけど、快感がビールの苦さ自体に転移する。これ、ふつうによく見られるんです。 フェティシズムというものがそうでしょう。下着が好きな人など意味がわからないかもしれないけれど、快の転移を考えると、それは生物学的には当たり前の話となる。反射の実験で有名なパブロフの犬もそうですよね。 パブロフの犬の実験では、犬の脳の活動、快感神経を計測しながら、ベルを鳴らしてエサをあげるんです。すると、普通はエサを食べているときに快感神経の活動が現れるんですが、ベルを鳴らしてからエサをあげることを何度もくり返していると、そのうちにエサを食べてもあまり快感神経が反応しなくなり、その一方でベルの音に快感を感じるようになるんですね。これも快楽がほかのものに転移する一例です。 ホラーの場合には、Aftermath effectが効いているんじゃないでしょうか。終わった後にスッキリ感を感じるから、それによって快が怖さそのものに転移して怖いものが好きになっているんだと思いますね。だから先ほどのフェティシズムの例、パンツが好きな男と同じですよ。本当はパンツなどぜんぜん価値がないのに(笑)。 脳を研究するときは実際に脳をいじることもあるので、対象がおもにネズミなどの動物になります。そのネズミの持つ感情の中で、もっとも原始的で再現性が高く研究できるのが、恐怖や痛みなんですね。 海馬(hippocampus)のすぐ隣り、ヒトで言うと、脳の表面のどこからも遠いような、いちばん深いところにあるものです。 じつは、扁桃体は恐怖を制御するための専門回路として哺乳類に生まれて使われてきた部位だったのですが、進化してヒトになっていく過程で、どうも喜びや楽しさなどほかの情動もカバーするようになり、いまに至っています。 ですから、確かに言いかたとしては、「扁桃体は情動を司る部位で、そのひとつが恐怖」というのはそのとおりなんですが、本当は少し違うんですね。そもそも恐怖以外の楽しいことを検出する役割などが扁桃体に後から追加されたのだ、という考えかたでいいと思います。 ホラーコンテンツを怖がっているときと、パズルを考えているときに活動している脳の部位はまったく異なるんです。怖さを感じるのは、最初に話した脳の真ん中の部分、扁桃体のある大脳辺縁系なのですが、知的作業をするのはいちばん外側の大脳皮質です。 じつは、この大脳皮質がなぜ発達したのかというと、大脳辺縁系を始めとした進化的に古い脳――つまり扁桃体などの活動を抑制するためなんですね。ですから脳にパズルみたいなものをやらせるのは、大脳皮質を活性化させるのと同義で、ホラー体験で大脳辺縁系がせっかく活動しているのに、それを抑え込んでいるということになりますよね。 だって、怖いものから逃げてばかりいると、その先にあるかもしれない黄金を逃しますよね。だから人間のように高度な動物は、ドリアンだって「臭いけど食べてみよう」とする。その結果、「ドリアンって美味いじゃん」と知ることができる。大脳皮質はそういう高度な知的作業を担っています。頭を使うってそういうことでしょう。「受験戦争から逃げたいけど勉強をしなくては」とか、基本的にガマンさせて、理知的・理性的に脳を働かせているわけです。 『バイオハザード』のゾンビのような、こちらに物理的危害を加えそうなものに感じる怖さや、画面上でもいいのですが銃で撃たれそうなときなど、命に差し障りがありそうなものに感じる怖さは“脅威”ですね。しかし、お話のとおり、「何が起こるかわからない」という、即物的ではない、見えないものに対する怖れとして“不安”もあります。 たとえば高所恐怖症と言いますが、じつはあれは恐怖ではなく、「落ちるかもしれない」という不安なんですね。いままでに厭な経験をしたことがあり、「こういうときって厭なことが起こるんだよな」というような漠然とした感情が不安です。この見えないものに対する不安という情動は、かなり知的な作業ですよね。 ほかにも、じつは『スーパーマリオブラザーズ』の最後に出てくるクッパは脅威ですよね。マリオにしてみれば襲われているわけです。『ドラゴンクエスト』だって最後に出てきたボスに負ける怖れがあります。インベーダーゲームだって上方から宇宙人が攻めてくるのは脅威です。 つまりホラーだけが特別というわけでなく、脅威、恐怖、不安のような要素はだいたいのエンターテイメントに何かしら入っていると僕は思っているんですよ。 つまり、情動のベクトルがとにかく上を向いていればいいわけです。だから恐怖を存分に楽しむなら、あらかじめベースラインを下げておくといい。ジェットコースターのようなものも、高さやスピードなど、ちょっとネガティブな感情にあらかじめ自分を置く、典型のひとつです。 試験や仕事もそうでしょう。やり遂げた達成感と、それまでの拘束からの解放と、「もしかしたらやり遂げる前に失敗するかもしれない」という不安からの解放などが混在しますよね。達成感と厭なものから逃がれた解放感というのは、じつは大きく二分できるようなものではなく、密接なもので、本質的にいっしょなんじゃないかと思います。ホラーゲームについてはとくにそうじゃないかと。 まず、カタルシスがありますよね。悲しい小説を読んだときと同じで、いわゆるストレスの発散になる。 でもそれ以外に何かいいことがあるかな? と考えると懐疑的になります。恐怖を楽しんでいる時間があるなら、もっとたくさん稼いで、もっと日本の税金に貢献して、と言いたくなっちゃいますね(笑)。あ、でも、ゲームを買って楽しむのは消費活動だから、経済には貢献していますね(笑)。 電ファミの記事は協賛者の皆さまの支援によって成り立っています!電ファミのファンクラブです。ゲームを中心にしながら、ひいてはマンガやアニメなど、エンタメ全般を扱うファンクラブへの成長を目指します。主要メンバーとして、元週刊少年ジャンプの編集長・Dr.マシリトこと鳥嶋和彦氏なども参加。面白いコンテンツによる世界征服を本気で企むコミュニティです。SNS拡散数が数千以上! ページビュー数万以上! などなど。多くの人々に読まれた、電ファミ渾身の“殿堂入り”記事をまとめました。日本のモバイルゲーム史における主要なトピック・タイトルを網羅するほか、開発者へのインタビューや識者による解説を掲載。約20年の歴史が一望できる決定版!ライトでありながらも、確かな“本格派の味”。新興デベロッパー・ネストピが贈るスマホ向けRTS『アンクラウン』の特集企画です。素材の組み合わせだけで5万本以上を売り上げたインディーゲーム! 「Web的」に作られた新感覚カードバトルゲーム、その開発方法とは。名作ゲームクリエイターの方々に製作時のエピソードをお聞きし、ヒットする企画(ゲーム)とは何か?を探っていきます。『うつヌケ』『ペンと箸』等で知られるマンガ家・田中圭一先生によるゲーム業界レポートマンガです。これからのデジタルゲーム市場を担う若きクリエイター達の姿を追い、彼らのルーツと情熱を探っていきます。ゲームに多大な影響を受けた作家さんに取材し、ゲームが日本のコンテンツ産業やカルチャーに与えた影響を探る企画です。ゲームライター・多根清史さんによる連載企画。その広範な知識のもとにゲーム史を体系的に語りおろしていただきます。ゲーム開発者・hamatsu氏がゲームの魅力を画面や操作の具体的な形から解き明かしていく、硬派で骨太な評論連載です。ゲーム開発者・岩崎啓眞氏による連載企画。ゲームの話を言語化することに使命感を燃やす、氏の開発者ならではの視点とは?「経験値」「裏技」「ラスボス」… ゲームにまつわる言葉の起源や用法の変遷を、コンピューター文化史研究家・タイニーP氏が徹底調査。

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